ペリーが踏んだ石と、鎌倉幕府を守った石——神奈川の石が語る日本の開国と武家の歴史

神奈川の石と地質——産地の歴史写真

1859年、横浜港が開港した——ここから西洋の宝石が日本に本格的に流入し始めた。

江戸時代の日本は磁器・象牙・珊瑚・べっ甲・水晶を「宝石」として扱っていた。「ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・サファイア」というヨーロッパの宝石文化は、横浜港を通じて初めて本格的に日本に流入した。「石の価値観の転換」が横浜から始まった——それまでの日本人が知らなかった「透明な硬い石が最高の宝石」という概念を、西洋の商人たちが持ち込んだ。

そしてもう一つの顔——箱根。約70万年前から活動を続ける複合火山・箱根山のカルデラ湖「芦ノ湖」は、約3,100年前の噴火で形成された。神奈川の山は「まだ生きている火山の上」に乗っている。

石好き次郎
横浜・山下公園から大さん橋を見たとき——「この港から日本のジュエリー文化が始まった」という事実が突然リアルになった。1859年に最初の外国商人が持ち込んだ石が、今日の日本の宝石市場の原点だ。
目次

横浜港開港——「石の価値観の転換」が始まった港

1859年7月1日、横浜港が正式に開港した。翌1860年には輸出額320万円・輸入額300万円となり、輸出の80%を生糸が占めた。輸入品は毛織物・綿織物・鉄砲・艦船が主体だったが、外国人居留地(現在の山手・関内エリア)には西洋の商人が持ち込む多様な物品が集まった。

「横浜もののはじめ」——開港を機に横浜から全国へ広まった文化の数々だ。石鹸・ビール・アイスクリーム・パン・牛鍋・新聞・ガス灯・近代水道・競馬・写真・洋式公園——これらの「日本最初」が横浜から始まった。そして宝石・装飾品の文化も同様だ。西洋人の居留地にはジュエリーショップが開かれ、明治の文明開化の波に乗って「ダイヤモンド・ルビー・エメラルド」という西洋的宝石の概念が日本に広まっていった。

文明開化と石——西洋宝石の日本上陸

時代日本で「宝石」とされた石価値観の変化
江戸時代以前珊瑚・べっ甲・象牙・水晶・めのう・翡翠「自然素材の美しさ・希少性」が価値の基準
明治以降(横浜開港後)ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・サファイア「透明度・輝き・硬度」というヨーロッパ的価値観が流入
現代両方が混在日本の伝統的宝石文化と西洋的宝石文化が共存

横浜の山手・元町エリアは今も「外国文化の玄関口」としての性格を持ち、西洋式の建築・宝石店・アンティーク品が集まる。1859年の開港から165年以上、横浜は「日本と外国の石文化の接点」であり続けている。

箱根——芦ノ湖はカルデラ湖だった

神奈川県の内陸部・箱根は約70万年前から活動を続ける複合火山だ。芦ノ湖(あしのこ)は約3,100年前の噴火で火口が陥没してできた「カルデラ湖」だ——つまり今目の前にある芦ノ湖の景観は、3,100年前の噴火が作った地形だ。縄文時代晩期にあたる「3,100年前の大噴火」は、当時の人々に目撃されていた可能性がある。

箱根は現在も「活火山」として気象庁に指定されており、箱根ジオパークとして地質・地形の見どころが整備されている。温泉(酸性泉・硫黄泉・塩化物泉)が多数湧出するのも、活火山の地熱活動のためだ。大涌谷(おおわくだに)は箱根の火山活動が作った噴気地帯で、黄色い硫黄の結晶が地面に付着する「活火山が今も石を作っている」場所として訪れる価値がある。

石好き次郎
大涌谷の地面に付着している黄色い結晶を初めて見たとき——「これが硫黄の結晶だ」という事実がリアルになった。火山が今この瞬間も石を作っている。芦ノ湖の「きれいな湖」の景観の下に、3,100年前の噴火の跡がある——神奈川は「石の歴史が生きている場所」だ。

相模川と丹沢——神奈川の山と川の石

神奈川の内陸部を流れる相模川は、丹沢山地を源流とする清流で、砂金採集の記録も残っている。丹沢山地は奥秩父・南アルプスと連続する古い変成岩・深成岩の山地で、花崗岩・変成岩の露頭が多数ある。秦野・厚木周辺の相模川流域では、かつて川石採集の愛好家が多かった。

三浦半島の海岸は「三浦層群」と呼ばれる新第三紀(約1,500万〜300万年前)の砂岩・泥岩・凝灰岩が海岸崖に露出しており、貝化石の採集スポットとして知られる。葉山・逗子・鎌倉の海岸を歩くと、この層群の砂岩・泥岩から风化して剥がれた石が浜辺に転がっている。

鎌倉の石——「切石」の建築文化

鎌倉の建長寺・円覚寺・鶴岡八幡宮——鎌倉の社寺には三浦半島産の「三浦石(みうらいし)」と呼ばれる砂岩が多用されている。中世の鎌倉は「石を切り出して使う文化」が発達し、やぐら(横穴墓)・五輪塔・石碑——鎌倉の山肌には無数の石造物が今も残る。三浦半島の軟らかめの砂岩が「加工しやすい石材」として中世から使われてきた。

よくある質問

Q. 箱根ジオパークはどこで楽しめますか?
箱根ジオパークの見どころは大涌谷(噴気・硫黄結晶・火山活動の現場)・芦ノ湖(カルデラ湖の景観)・仙石原(湿地・草原)・早雲山(ロープウェイで火山地形を観察)——箱根全体がジオパークの対象だ。箱根ビジターセンター(箱根町・国道1号沿い)で地質情報が得られる。

Q. 横浜で石・鉱物・宝石を楽しめる場所は?
横浜市立自然・歴史博物館(金沢区)に神奈川県産の鉱物・化石の展示あり。元町・山手エリアには歴史的なアンティーク宝石店が残る。横浜・みなとみらいエリアは「西洋宝石文化が最初に上陸した場所」として歩く価値がある。

石好き次郎から

神奈川は「石が集まってきた場所」だ。横浜港から西洋の宝石文化が入り、箱根の火山が今も石を作り、鎌倉の砂岩に中世の文化が刻まれ、三浦半島の崖に1,500万年前の海の化石が並んでいる。「開港の港」「活火山の湯治場」「中世武家の都」——神奈川のどの顔の後ろにも、石の歴史が積み重なっている。

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石好き次郎

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