石好き次郎– Author –
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石の物語
伊勢神宮と宝石——神様に捧げられた石の正体
伊勢神宮の境内を歩くと、参道の足元に白い玉砂利が敷き詰められている。この石は「お白石(おしらいし)」と呼ばれ、伊勢を流れる宮川の河床から採取した白い礫だ。20年に一度の式年遷宮では、全国から百万人以上の参拝者が宮川の白い石を布袋に入れて運... -
石の値段
ファンシーカラーダイヤモンドのカラット単価が数百万ドルを超える理由
2017年11月、ジュネーブのクリスティーズオークション。「Pink Star(ピンクスター)」と名付けられた59.60カラットのファンシービビッドピンクダイヤモンドが、7,118万ドル(約80億円)で落札された。1カラット当たり約119万ドル(約1.3億円)——これは宝... -
日本の石
薩摩切子は15年で消えた——江戸時代の日本が生んだ「幻の宝石ガラス」の誕生と壊滅
1863年9月、薩英戦争で鹿児島は灰燼に帰した。薩摩藩が誇る集成館(近代的な工場群)が英国艦隊の砲撃で壊滅し、その一角にあったガラス工場も失われた。そこで生み出されていた「薩摩切子」——透明ガラスに色ガラスをかぶせ、カットによって美しいグラデー... -
石の物語
足尾銅山の鉱物——孔雀石・藍銅鉱・黄銅鉱が標本市場で評価される理由
栃木県日光市足尾——かつて「東洋一の銅山」と呼ばれたこの地は、明治から昭和にかけて日本の近代化を支えた鉱山の街だ。江戸時代から400年以上の採掘史を持ち、日本の産業史の縮図ともいえる場所だ。1973年の閉山から50年以上が経過した今も、足尾銅山跡は... -
石の物語
江戸時代の日本人は宝石をどう使っていたか——刀装具・印籠・根付の美学
江戸時代、宝石を身に着けることは「身分を超えた贅沢」として幕府に制限されていた。しかし人間の装飾欲求はどんな制度にも勝る——刀の鍔に翡翠を嵌め込み、根付に水晶を彫り、印籠に珊瑚を施す。形を変えながら、江戸の人々は宝石を日常の中に溶け込ませ... -
石の物語
山梨県甲府市がジュエリーの都になった理由——戦国時代の水晶細工から世界の宝飾産業へ
山梨県甲府市。人口19万人のこの地方都市が、なぜ「日本のジュエリーの都」として世界に知られているのか。 甲府市のジュエリー生産額は日本全体の約30〜40%を占め、地場産業として宝石加工が根付いている。市内には宝飾品メーカーが約300社集積し、銀座・... -
石の物語
御木本幸吉が「真珠帝国」を作るまで——三重県が世界の真珠市場を支配した100年
1893年、三重県鳥羽の海。御木本幸吉が世界初の真珠養殖に成功した瞬間、「宝石は自然が作るもの」という常識が崩れた。それまで真珠は「偶然の産物」だった——アコヤ貝が砂や異物を取り込み、何年もかけて層を重ねることでできる宝石。御木本はその「偶然... -
石の物語
戦国大名が城郭に使った石垣の石——花崗岩・安山岩・凝灰岩の選定基準
戦国時代の城を見ると、石垣の巨石に圧倒される。徳川大坂城・姫路城・熊本城——それぞれの石垣の石は地元の地質に根ざした素材だ。花崗岩・安山岩・凝灰岩・砂岩——城郭の石垣は石好きにとって「産地の地質が歴史に残った博物館」でもある。どの石が選ばれ... -
採集・体験
日本で砂金が採れる川——歴舟川・球磨川・最上川の全リストと採集技術
北海道・歴舟川(れきふねがわ)の河床に朝日が差し込む。川底の砂利が光を反射する中、経験者がパンニング皿をゆっくり回している。水が流れ出るにつれ、皿の底に黒い砂と、その中に輝く金色の粒が残った——砂金だ。日本で砂金採集が楽しめる川は全国に点... -
日本の石
日本刀の玉鋼——砂鉄から生まれる金属の宝石
砂鉄(さてつ)を1,200℃以上で加熱し、炭素と融合させた「玉鋼(たまはがね)」から日本刀が生まれる。石好きとして玉鋼の製造工程を見ると、「砂鉄という鉱物が、精錬という化学反応を経て、世界最高の刃物になる」という壮大な変容の過程が見える。砂鉄...
