自己紹介

石好き次郎
石好き次郎
鉱物研究家・石販売業 / 採集歴・販売歴20年以上

東京郊外在住・40代。月1〜2回のペースで国内各地の産地で採集を行い、アメリカ・ツーソン(世界最大のミネラルショー)をはじめ国内外のショーで買い付けを行う。

川底に手を突っ込んで石をめくるとき、「これかもしれない」という感覚がある。水が冷たくて、砂利が手のひらを押し返して、そのひとつをひっくり返した瞬間——六角柱の先端が光を反射する。水晶だ。完品だ。声が出なくなる。

この感覚が忘れられなくて、20年以上川に入り続けている。今も月に1〜2回は必ずどこかの産地に足を運ぶ。東京郊外を拠点に、山梨・新潟・京都・北海道まで——石がある場所ならどこへでも行く。

ツーソンで見た世界

アメリカ・アリゾナ州ツーソンで開かれる世界最大のミネラルショーに足を運ぶことがある。世界最大のミネラルショーだ。50カ国以上のディーラーが集まり、日本では見られない石が数万点並ぶ。コロンビアのエメラルド原石、タンザニアのタンザナイト、ミャンマーの翡翠——産地から直接持ち込まれた石が、世界の買い付け人の手を通じて並ぶ。

ツーソンで石の価格が決まる——というと大げさに聞こえるかもしれないが、実際にそれに近い。世界の宝石市場のトレンドがここで作られる。ここで目利きを続けてきたことが、このサイトで「石の値段の理由」を書けるベースになっている。

翡翠を拾った日

糸魚川の海岸で翡翠を初めて自分で見つけた日のことは、今でも鮮明に思い出せる。緑色の石は他にもたくさん落ちているから、最初は確信が持てなかった。ルーペを当てて覗いた。繊維状の結晶が見えた。

——これだ。

手が震えた。波の音と、石の冷たさと、「世界でここだけで拾える石」を自分が今持っているという事実。なぜ糸魚川の海岸にだけ翡翠が落ちているのか、理由を知ってからは、その石の重さがまた変わった。

地図とルーペと長靴

採集スポットを探すとき、古い地質調査の資料や鉱山記録を掘り起こす。「かつてここで鉱石が採れた」という記録が地形図のどこかに対応する。そこに川が流れていれば、上流から石が流れてくる計算になる。

仮説を立てて、現地に行く。外れることも多い。それでも「あの角を曲がったら何があるか」という感覚がたまらない。山宮河川公園の水晶も、木津川の水晶も、最初は地図と勘が出発点だった。

「なぜ高いのか」を追いかけて

石の売買を始めてから、「なぜこの石はこの値段なのか」が死活問題になった。なぜ同じ翡翠なのに値段が100倍違うのか。なぜ採掘が終わって100年以上経ったカシミールのサファイアが今も別格なのか。日本語の情報には答えがなかった。英語を読んだ。次に中国語、フランス語、ロシア語。

産地ごとに強い言語が違う。デマントイドガーネットの最も詳しい資料はロシア語で、翡翠市場の動向は中国語メディアが先行し、アフリカの有色石はフランス語圏に一次情報がある。言語を増やすたびに、見える世界が広がった。

それでもまだ知らないことの方が圧倒的に多い。だから面白い。

失敗した石たち

アメジストを窓際に飾って退色させた。翡翠を超音波洗浄機に入れて光沢を潰した。ルビーとダイヤモンドを一緒に保管してルビーに傷を入れた。全部知識がなかったせいだ。

知識は石への敬意だと思っている。川で石を拾うことと、その石を正しく扱うことは、セットだ。


このサイトについて

採集の楽しさ、石の値段の謎、産地の現実、宝石市場の裏側——全部ひっくるめた「石の本当の話」を日本語で届けるために作った。サイトについて詳しくはこちら。


よく聞かれること

採集スポットを教えてください

全国採集スポットガイドをはじめ、関東砂金採り雨の日でも行ける体験施設など地域・石種別に記事を書いています。

石の鑑定・同定をお願いできますか?

個別の鑑定対応は行っておりません。専門の鑑別機関(中央宝石研究所など)にご依頼ください。

石の買い方を教えてください

GIA鑑定書の偽造問題無加熱宝石のプレミアム翡翠の品質の読み方——この3記事を読んでから購入すると後悔しにくくなります。