
源泉数約5,086カ所・湧出量291,000リットル/分——どちらも日本一。そして「地獄」。
別府の「地獄めぐり」——コバルトブルーの海地獄、真っ赤な血の池地獄、白く濁る白池地獄。これほど色の異なる温泉が一か所に集まるのは、温泉の成分(溶け込んだ鉱物)が池ごとに違うからだ。別府の温泉を見ると、「地獄の色は鉱物の色だ」という事実に気づく。
別府温泉(世界一の温泉湧出量・約13万kL/日)は由布火山群の地熱水が湧出する地帯だ。別府は「火山の地熱水が石を変質させ・鉱物を析出させる」地質化学の現場だ。
別府温泉の地質:別府湾沿いに位置する別府は、由布岳(ゆふだけ)・鶴見岳(つるみだけ)の活火山を熱源とする熱水活動地帯だ。花崗岩・安山岩の地層を通った地下水が地熱で加熱され、シリカ・炭酸カルシウム・硫黄等のミネラルを溶解して地表に湧出する——10種類の泉質の多様性は地質の多様性の直接の反映だ。
別府地獄の赤・青・白の色は溶解鉱物(鉄・銅・シリカ)の種類の違いだ。温泉の色が地球の鉱物化学を反映している——野外で確認できる教科書だ。
大分県の地質:九重火山群(玄武岩・安山岩)・由布岳(安山岩)・大分川流域(花崗岩・変成岩礫)・佐伯市周辺の中生代付加体——大分は「九州最大の温泉地を生んだ火山地質と古い基盤地質が共存する県」として石好きに最高の地質多様性を提供する。
九重山(久住山・1787m)は玄武岩・安山岩の活火山群だ。坊がつる湿原の周辺には安山岩礫が散在する——現役活火山の産物を湿原の中で採集できる場所だ。
別府温泉の湯口周辺には石灰華(炭酸カルシウムの析出物)が積層する。温泉が毎日少しずつ石を作っている現場——石の誕生のリアルタイムだ。
地獄の色は鉱物の色——化学で読む別府地獄
| 地獄の名称 | 色 | 色の原因(鉱物・化学物質) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 海地獄 | コバルトブルー | 硫酸銅(CuSO₄)——銅イオンが水に溶けた青 | 地獄の中で最大規模。98℃。美しすぎる池 |
| 血の池地獄 | 赤〜赤褐色 | 酸化鉄(Fe₂O₃)——鉄が酸化した赤錆の色 | 日本最古の「天然地獄」。奈良時代の記録あり |
| 白池地獄 | 乳白色 | コロイド硫黄(S)——硫黄の微粒子が白く濁らせる | 噴出時は透明、冷えると白濁。温泉が変化する過程を見られる |
| 鬼石坊主地獄 | 灰色〜茶色 | 熱泥——粘土鉱物と温泉が混合した泥 | 灰色の泥が沸騰する「泥泡」が不思議 |
| 竜巻地獄 | 無色〜白 | 純粋な熱水噴出(間欠泉) | 30〜40分おきに熱湯が吹き上がる日本唯一の定期間欠泉 |
地獄の色の違いは「地下のどんな岩石が熱水に溶けているか」の違いだ——銅を含む岩石が溶ければ青、鉄を含む酸化物が沈殿すれば赤、硫黄成分が多ければ白。別府地獄めぐりは「温泉の化学を全身で体験する野外実験」と言い換えることができる。
別府の泉質多様性は地下の地質の多様さを反映している。花崗岩・安山岩・石灰岩が地熱水と反応してそれぞれ異なる成分の温泉を作る——別府は地質化学の多様性が温泉の多様性を作った場所だ。
由布岳の登山道沿いには安山岩礫・溶岩塊が転がっている。別府温泉の地熱と同じ火山活動の産物——山を登りながら温泉の熱源の石を採集できる。
なぜ別府だけこれほど多くの温泉が湧くのか
大分県は「源泉数・湧出量ともに全国1位」だが、特に別府市の源泉密度は世界的に見ても突出している。理由は地質だ。別府市は鶴見岳(標高1,375m)と伽藍岳(標高1,045m)の2つの活火山の麓に位置し、火山の地熱が地下水を加熱して温泉を生む。さらに別府湾の海底に地熱活動があり、陸上と海底の両方から温泉が湧出する特殊な地質環境だ。
温泉は「雨水が地下深くに浸透し、地熱で温められ、岩石からミネラルを溶かし込みながら地表に湧き出す水」だ。別府の山々を作る火山岩・安山岩・凝灰岩が溶け込んだミネラルが、各泉質の「個性」を作る。10種類ある泉質のうち7種類が別府で確認されているのは、地下の岩石の多様性を反映している。
大分川の河原には花崗岩・変成岩・砂岩礫が集積する。大分市内から近い採集地だ。
別府の「砂湯(すなゆ)と地熱砂」:別府の砂湯(別府海浜砂湯)では砂を温泉の地熱で加温して砂の中に入浴する。「温泉の地熱で加熱された砂(石英砂)に浸かる体験」ができる
姫島(大分県沖)は縄文時代の黒曜石産地だ。香川のサヌカイトと並んで九州の石器文化を支えた石の産地——縄文石器文化の素材石の産地として訪れる価値がある。

湯の花——温泉が作る結晶
明礬(みょうばん)温泉の「湯の花小屋」は、別府でしか見られない独特の施設だ。火山性蒸気が噴出する地面に「藁ぶきの小屋」を建て、その内部に温泉蒸気を閉じ込めると、天井や柱に「湯の花(ゆのはな)」と呼ばれる結晶が析出する。この施設と周囲の景観は「別府の湯けむり・温泉地景観」として国の重要文化的景観に選定されている。
湯の花の正体は「明礬(みょうばん)」——硫酸アルミニウムカリウム(KAl(SO₄)₂·12H₂O)という化合物の結晶だ。温泉蒸気に含まれる硫酸・アルミニウム・カリウムが冷えながら結晶化した天然の化学物質で、江戸時代から薬品・染色の媒染剤・食品添加物として利用されてきた。「温泉が石を溶かして作った結晶」——湯の花は「石が温泉を経由して別の鉱物になった」過程の産物だ。
耶馬溪(やばけい)の奇岩・石柱・断崖は溶結凝灰岩の節理に沿った侵食で作られた景観だ。火山岩が侵食で彫刻された——大分の代表的な地質景観だ。
臼杵の磨崖仏は凝灰岩を直接掘って作られた石仏だ。加工しやすい凝灰岩が石仏文化を生んだ——地質と文化の具体的な接続だ。
大分の石——別府石と温泉文化
別府には「別府石」と呼ばれる安山岩の石材産地がある。明礬温泉の急傾斜の地熱地帯に別府石の石垣が築かれ、湯の花小屋が立ち並ぶ景観は、温泉地帯の活用と石の文化が合わさった独特の景観だ。別府石は鶴見岳・伽藍岳の火山活動で生まれた安山岩で、別府の街の石造物に広く使われてきた。
臼杵の磨崖仏は火山灰が固まった凝灰岩に掘られた石仏だ。地質が仏教芸術を可能にした——大分の石文化の一側面だ。
別府地獄の歴史——奈良時代に始まった「地獄観光」
血の池地獄は「日本最古の天然地獄」とされ、奈良時代の書物にすでに記録がある。豊後国風土記(713年頃成立)や万葉集にも「赤湯の泉」「玖倍理(くべり)湯の井」として地獄地帯の記述が残る。1,300年前にも同じ赤い温泉が同じ場所で噴出していた——地球の地熱活動は人間の文明よりはるかに長い時間軸で動いている。895年には醍醐天皇が、1044年には後冷泉天皇が柴石温泉に入湯した記録も残る。
別府八湯は各源泉の泉質が異なる。地質の違いが温泉の成分を決める——同じ別府で地質化学の比較ができる場所だ。
大分の「佐伯市(さいきし)」の付加体地質:大分県南部の佐伯市は古生代〜中生代の付加体(砂岩・チャート・泥岩)が分布する。佐伯市の海岸礫浜は「四国の付加体地質と連続する九州東岸の地質」を体感できる採集地だ。
大分の「番匠川(ばんじょうがわ)の礫採集」:大分県南部を流れる番匠川は砂岩・花崗岩・変成岩礫が豊富な採集河川だ。佐伯市周辺を流れる番匠川の河原は付加体地質の礫と花崗岩礫が混在する——大分南部の石好きフィールドとして知られる川だ。
よくある質問
Q. 地獄めぐりで石好きが特に注目すべき場所は?
海地獄(銅の青)・血の池地獄(鉄の赤)・白池地獄(硫黄の白)の3か所を「鉱物の色の違い」という視点で見ると全く異なる体験になる。また明礬温泉の湯の花小屋(見学可能)では「温泉が結晶を作る過程」を実際に見ることができる——石好きにとって最も価値のある別府の体験のひとつだ。
Q. 別府の温泉成分は体に影響しますか?
泉質によって全く異なる。単純温泉(刺激少・入門向け)・塩化物泉(保温効果)・硫酸塩泉・硫黄泉(殺菌力強・皮膚病に効果)・酸性泉(刺激強・肌に染みる)・含鉄泉(貧血に効果的)など多彩だ。泉質の多様性こそ別府が「温泉天国」たるゆえんで、目的に合った泉質の温泉を選べる。
「別府温泉の「明礬温泉(みょうばんおんせん)」:別府温泉の中でも明礬温泉地区では硫黄と明礬(硫酸アルミニウムカリウム:KAl(SO₄)₂・12H₂O)が湯の花として析出している。明礬の析出——「温泉が生み出す結晶鉱物」——は化学的に最も面白い温泉鉱物現象の一つだ。
大分の「国東半島(くにさきはんとう)の石仏群」:大分県北東部の国東半島には6000体以上の石仏・磨崖仏が分布する——凝灰岩・砂岩を直接掘り出した石仏文化だ。これはまさに「石材の加工しやすさが石仏文化の密度を決めた」例で——国東半島の凝灰岩地質が日本有数の石仏密集地を生んだ地質的根拠だ。
「大分県産鉱物標本の価値」:大分県では別府温泉の硫黄・明礬・珪酸華のほか、九重山麓の安山岩・玄武岩標本が採集できる。「温泉が作る鉱物と火山が作る岩石」——この二つが共存する大分の鉱物標本はEC販売でも「別府温泉産地証明付き硫黄標本」として独自のプロダクト価値を持つ。
| 地質・石 | 特徴 |
|---|---|
| 温泉石灰華(トラバーチン) | 炭酸カルシウムが温泉水から沈殿した白色石 |
| シリカ(珪酸)析出物 | 白池地獄の白色・シリカ(SiO₂)が水から析出 |
| 硫黄結晶 | 温泉蒸気から析出する黄色結晶 |
| 由布岳・鶴見岳安山岩 | 別府温泉の熱源となる活火山の岩石 |
| 大分川流域花崗岩礫 | 大分の基盤地質・河川採集の対象 |
別府温泉の地質:別府湾沿いに位置する別府は、由布岳・鶴見岳の活火山を熱源とする熱水活動地帯だ。花崗岩・安山岩の地層を通った地下水が地熱で加熱され、シリカ・炭酸カルシウム・硫黄等の鉱物を溶かし込みながら湧出する。源泉数約5,086カ所・湧出量291,000リットル/分はいずれも日本一だ。別府市は鶴見岳と伽藍岳の2つの活火山の麓に位置し、活火山の地熱水が浅い地下を通じて密集して噴出する地質構造にある。
明礬(みょうばん)温泉の「湯の花小屋」は別府でしか見られない独特の施設だ。火山性蒸気が噴出する地面に藁ぶきの小屋を建て内部に温泉蒸気を閉じ込めると、天井や柱に湯の花(ゆのはな)と呼ばれる結晶が析出する。
姫島(大分県沖)は縄文時代の黒曜石産地で、九州の石器文化を支えた石の産地として訪れる価値がある。大分川の河原には花崗岩・変成岩・砂岩礫が集積し、大分市内から近い採集地だ。番匠川は砂岩・花崗岩・変成岩礫が豊富な採集河川で、付加体地質の礫と花崗岩礫が混在する大分南部の石好きフィールドだ。由布岳の登山道沿いには安山岩礫・溶岩塊が転がっており、山を登りながら温泉の熱源の石を採集できる。
「温泉の色は鉱物の色だ」——これを知ってから別府地獄めぐりを歩くと、「地獄」が「地球の化学実験場」に見えてくる。コバルトブルーの海地獄に銅が溶けていて、赤い血の池地獄では酸化鉄が沈殿する。温泉の色を鉱物の目で読む体験は別府以外にはない。
大分県は「源泉数・湧出量ともに全国1位」だ。理由は地質——別府市は鶴見岳と伽藍岳の2つの活火山の麓に位置し、活火山の地熱水が浅い地下を通じて密集して噴出する地質構造にある。また由布岳(ゆふだけ・標高1,583m)も活火山で、別府〜湯布院一帯は「別府万年山断層」に沿った地熱活動地帯だ。地質構造が温泉の密度を決める——「温泉の地質学」を理解すると別府の見え方が変わる。
大分県には温泉以外にも石好きのスポットが多い。国東半島(くにさきはんとう)の6000体以上の石仏・磨崖仏は凝灰岩・砂岩を直接掘り出した石仏文化で、「石材の加工しやすさが石仏文化の密度を決めた」という地質と文化の関係が見える。
別府地獄めぐりと石好き採集を組み合わせる大分1泊2日コース:1日目は別府地獄めぐり(鉱物化学の観察)→明礬温泉の湯の花小屋(結晶生成の現場)→由布院温泉(安山岩地質)。2日目は九重山・坊がつる(安山岩礫採集)→番匠川(付加体礫採集)——大分の火山地質と古生代付加体を一度に体感できる石好きのための旅行だ。
別府温泉の「砂湯(すなゆ)」:別府海浜砂湯では砂を温泉の地熱で加温し砂の中に入浴する。「温泉の地熱で加熱された石英砂に浸かる体験」は、「石英砂と温泉が一体になった地質体験」として独特の価値がある。
別府の「血の池地獄」に初めて来たとき、あの赤の鮮やかさに立ちすくんだ。鉄分を含む熱水が酸化して赤く染まった池——それが「地獄」と呼ばれてきた理由が色だけでわかる。石好きとして「鉄が溶けると赤くなる」という鉱物の基本が、目の前の景色に直結した瞬間だった。
湯の花(ゆのはな)の結晶を初めてルーペで見たとき、「温泉がこんな鉱物を作るのか」と思った。明礬(みょうばん)の白い結晶が積み重なって小屋を覆っている——別府でしか見られない光景だ。地球の熱が地表で鉱物を結晶させている現場を見ると、鉱物学の教科書が突然、目の前に現れた感覚がある。

鉱物を扱う者として、別府の石に思うこと
鉱物を扱っていると、別府ほど「石ができる化学」を目の前で見せてくれる場所はない。地獄めぐりの色とりどりの温泉は、地下の鉱物が溶け出した色見本だ。湯の花小屋では、温泉が今この瞬間も結晶を生み続ける。ここでは、鉱物を扱う人間の目で、大分の温泉と石を書いておきたい。
地獄の色は、鉱物の色
別府の地獄めぐりでまず驚くのは、温泉ごとに色がまるで違うことだ。コバルトブルーの海地獄、真っ赤な血の池地獄、白く濁る白池地獄。この色の違いが、鉱物を扱う人間にはたまらない。
色を決めるのは、湯に溶けた鉱物だ。赤い血の池地獄は鉄が酸化した色、青い海地獄は溶けた成分の色、白い地獄は硫黄やシリカの色。石を見るとき、私はまず色から成分を推し量るが、別府の温泉はその読み方がそのまま通じる。地獄の色は、地下の鉱物の色そのものだ。
血の池地獄の赤の鮮やかさを初めて見たときは、立ちすくんだ。鉄が溶けて酸化すると赤くなる——鉱物の基本が、目の前の景色に直結した瞬間だった。「地獄」と呼ばれてきたその色が、実は鉱物化学の教科書だと気づくと、別府の湯が違って見えてくる。
温泉が、今も石を作る
別府でいちばん唸ったのは、明礬温泉の湯の花小屋だ。火山の蒸気が噴き出す地面に藁ぶきの小屋を建て、中に蒸気を閉じ込めると、天井や柱に白い結晶がびっしり析出する。これが「湯の花」だ。
湯の花の正体は、明礬という鉱物の結晶だ。蒸気に含まれる硫酸・アルミニウム・カリウムが冷えながら結晶化する。工場でも実験室でもなく、自然の蒸気と時間だけで鉱物が育つ。採集家はふだん完成した石を拾うが、ここでは鉱物が生まれる過程そのものを目で見られる。
湯の花をルーペで覗いたとき、「温泉がこんな鉱物を作るのか」と声が出た。地球の熱が地表で鉱物を結晶させる現場——鉱物学の教科書が、突然目の前に立ち上がる感覚だった。江戸時代から続くこの営みは、石好きにとって別府でしか見られない光景だ。
地球の熱が、石を溶かし、また結晶にする
別府の温泉を鉱物の目で見ると、一つの壮大なサイクルが見えてくる。雨水が地下深くに染み込み、火山の熱で温められ、周りの岩石から鉱物を溶かし込みながら地表へ湧き出す。
溶け込んだ鉱物は、地獄では色になり、湯の花では結晶になる。つまり温泉は、地下で石を溶かし、地表でまた別の鉱物に作り替える。石を溶かして運び、再び結晶にする——地球の熱が回すこの循環を、別府では全部目で追える。
別府に源泉が五千カ所以上、日本一の湧出量で湧くのも、鶴見岳や伽藍岳という活火山の熱があるからだ。火山の熱源、多様な岩石、湧き出す熱水——この三つが揃って、地獄の色と湯の花の結晶が生まれる。大分は、地球の熱が石を作り替える現場を、温泉として味わえる稀有な県だ。
よくある質問(追補)
Q. 温泉の色はなぜ違うのですか?
湯に溶けた鉱物成分が違うためだ。赤は鉄、青は溶けた成分、白は硫黄やシリカによる。温泉の色を見れば、地下にどんな鉱物があるかが読み解ける。
Q. 別府地獄とは何ですか?
色や様子の異なる温泉が集まる、別府の名所だ。海地獄の青、血の池地獄の赤など、鮮やかな色は鉱物成分による。地質と化学を学べる野外の教科書でもある。
Q. 血の池地獄はなぜ赤いのですか?
鉄分を含む熱水が酸化して赤く染まるためだ。鉄が溶けて酸化すると赤くなるという、鉱物の基本が景色になる。奈良時代から記録が残る、日本最古の天然地獄だ。
Q. 湯の花とは何ですか?
温泉の成分が固まってできる鉱物の結晶だ。明礬温泉では、蒸気に含まれる成分が明礬という鉱物として析出する。今まさに石が生まれる現場を間近で見られる。
Q. 湯の花はどうやってできるのですか?
火山の蒸気を藁ぶき小屋に閉じ込め、天井や柱に結晶を析出させる。硫酸・アルミニウム・カリウムが冷えて明礬の結晶になる。自然の蒸気と時間だけが作る鉱物だ。
Q. 明礬とはどんな鉱物ですか?
硫酸アルミニウムカリウムからなる結晶だ。江戸時代から染色の媒染剤や薬などに使われてきた。別府の湯の花は、温泉が作り出す天然の明礬結晶だ。
Q. なぜ別府にこれほど温泉が多いのですか?
鶴見岳と伽藍岳という二つの活火山の麓にあり、地熱が地下水を温めるためだ。源泉数・湧出量ともに日本一を誇る。火山の熱が、温泉県大分を支えている。
Q. 温泉と鉱物はどう関係しますか?
温泉は地下深くで岩石から鉱物を溶かし込み、地表へ運ぶ。その鉱物が地獄では色になり、湯の花では結晶になる。温泉は、石を溶かして作り替える地球の営みだ。
Q. 別府石とは何ですか?
鶴見岳・伽藍岳の火山活動が生んだ安山岩の石材だ。別府の石垣や石造物に広く使われてきた。温泉だけでなく、火山の石も別府の暮らしを支えてきた。
Q. 温泉の匂いは何が原因ですか?
溶けた成分によるものだ。硫黄を含む温泉は独特の匂いがする。匂いもまた、地下にどんな鉱物や地質があるかを知る手がかりになる。
Q. 子供と大分で石を学べますか?
学べる。「なぜこの色なの」と問いながら地獄めぐりをすると、鉱物や地質への興味が広がる。湯の花小屋で結晶ができる様子を見るのも、忘れがたい学びになる。
Q. 大分の温泉と石をどう巡ればいいですか?
別府地獄めぐりで温泉の色と鉱物の関係を読み、明礬温泉の湯の花小屋で結晶の生成を見て、九重や由布岳で火山の石を拾う。温泉が石を作る現場を一度に味わえる巡り方だ。
石好き次郎から
別府の地獄の色は、溶けている鉱物で決まる。血の池地獄が赤いのは、酸化鉄の粘土が沈殿しているからだ。海地獄の青は、硫酸鉄が溶けている。
湯の花は、温泉が析出させた結晶だ。明礬(ミョウバン)が主成分になる。江戸時代から、藁葺きの小屋で採取されてきた。
温泉水は、地下で岩石を溶かす。その成分を地表まで運び、冷えたところで別の鉱物として沈殿させる。地下で溶かし、地表で作り直す。
九重山の硫黄は、火山ガスが冷えて結晶になったものだ。姫島の黒曜石は、流紋岩質のマグマが急冷したガラスになる。同じ県に、性格の違う石が並ぶ。



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