岐阜・笹洞鉱山で蛍石を探す——4歳から参加できる3時間半の鉱山ツアー

岐阜・笹洞鉱山の蛍石採掘ツアーのイメージ

笹洞蛍石鉱山のミネラルハンティングガイドツアーは、岐阜県下呂市金山町の鉱山跡で蛍石を探す、予約制のガイド付きツアーだ。料金は高校生以上5,000円、4歳〜中学生2,500円。3月から10月末まで、午前と午後の部がある。ふらっと行って石を拾える場所ではない。いつもの河原とは、入口からして違う。

集合場所から片道約20分、緩やかな林道を歩いて現地に入る。川辺で約1時間20分掘り、坑道でブラックライトの観察が約15分。往復の移動まで入れて、全体でおよそ3時間半のツアーになる。宝石探し施設の「その場で掘って終わり」とは別物で、ちょっとした山歩きに近い。

石好き次郎
いつもの河原は、思い立った朝に行ける。笹洞は、思い立ってから予約の画面と勝負が始まる。石より先に、カレンダーをにらむ場所だ。
目次

笹洞鉱山ツアーは自由採集ではない

笹洞は私有地の鉱山跡で、運営会社のガイド付きツアーでしか入れない。思い立って一人で行っても、入口で引き返すことになる。参加には事前予約が要る。人気が高く、受付が始まるとすぐ埋まる日も多い。

料金・予約・参加条件

項目内容
シーズン3月〜10月末
時間午前の部 8:30〜12:00頃/午後の部 13:00〜16:30頃(いずれか選択)
料金高校生以上5,000円・4歳〜中学生2,500円
対象年齢4歳以上。子どもだけの参加は不可
規模1回あたり約6組、1組最大6人、原則1組1台で来場
持ち帰り1人にバケツ1個(約1kg分)。母岩は別枠で1個まで持ち帰り可
支払い現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済・交通系ICカード

予約の取り方とキャンセル待ち

予約は、公式サイトの予約ページから取る。受付開始の時期は公式Instagramで知らされる。開始日をDMや電話で聞いても、答えてはもらえない。行きたい月が決まったら、開始の時刻にスマホを握って待つくらいでいい。支払いは当日、現地で済ませる。

満席の日には、キャンセル待ちを登録できる。空きが出ると、登録した全員に一斉にメールが届く。早い者勝ちで、メールが来ただけでは予約は取れていない。通知が来たら、喜ぶ前に予約ボタンを押す。埋まっていても、直前に空きが出ることはある。

持ち物の基本なら石拾いが変わる道具たちも参考になる。ただ、ここは林道保護のため掘削道具の持ち込みが禁止だ。自前のハンマーやタガネは、家に置いていく。

蛍石を探す3時間半の流れ

集合場所は「菅田集学校」(旧菅田小学校)の2階、旧理科室だ。石を掘りに来て、まず理科室に通される。受付を済ませて道具を借りたら、車で移動する。そこから緩やかな林道を歩く。木に囲まれた道で、日陰が多い。

現場に着いたら、川辺でザルとスコップを使って蛍石を探す。そのあと坑道に入り、ブラックライトで光る鉱石を見る。この坑道見学は辞退して、掘り続けることもできる。欲張りな人のための抜け道だ。どちらを選ぶかで、帰りのバケツの重さが少し変わる。

石好き次郎
笹洞の蛍石は、ぱっと光るというより、ぼんやりにじむように光を保つ。派手な光ではない。それがいい。

足元・手袋・服装——主催者の持ち物案内

足元は、主催者の持ち物案内で長靴が「必須」とされる。ヒルとマムシ対策だ。小さい子の長靴は丈が短く水が入りやすいので、ウェーダーがあると安心だという。服は長袖・長ズボンで、汚れていいもの。短パンでは入れない。

手袋は、白い軍手だけは避ける。ブラックライトを当てると、白い軍手が光ってしまうからだ。蛍石より先に自分の手が光っては、話にならない。濡れても平気で丈夫な、ゴムの手袋がいい。

公式いわく、マムシはめったに出ない。手ごわいのはヒルのほうで、雨の後には必ず出る。虫よけは、ヒルに効くものを選ぶ。ヒルとマムシへの備えは、石拾いの現場にいる危険生物で出発前に読める。7月と8月は、谷の中でも思ったより暑い。水と塩分は、多すぎるくらいでちょうどいい。

UVライトは何に使うか

蛍石は紫外線を当てると光る。UVライトは探すときにかなり役に立つ、と公式も書いている。現地で1本500円で借りられる。自前のものも使えるが、初めてならレンタルで足りる。ライトを買うのは、光る石にはまってからで遅くない。

雨の日を「好条件」と思い込まない

雨の方が石を探しやすい、という説明を見かけることがある。この記事ではそれを勧めない。雨でもツアーは原則実施されるが、荒天なら中止になる。増水、滑る足元、冷え。どれも晴れの日より確実に悪くなる。石が濡れて見やすくなる分より、転ぶ確率が上がる分の方が大きい。

蛍石とは何か

蛍石は英語でフローライト。笹洞で出るのは白っぽいものや緑が多く、紫は珍しい。しかも紫は光りにくい、という説がある。きれいな色ほど光らない。石は、なかなか全部をくれない。

主成分はフッ化カルシウム。純粋な結晶は無色透明で、実は光らない。微量に混ざった希土類元素のおかげで、紫外線を当てたときに光る。混ざりものが主役になる、珍しい石だ。手に取ると、ガラスのようにつやのある平らな割れ口が目につく。決まった向きにきれいに割れる石で、硬さは4。鉄のナイフなら傷がつく。

大きな塊は、縞の入ったメノウと蛍石が抱き合った形で出ることが多いという。どっちが先に固まったのかまでは、塊をにらんでも私にはわからない。

鉄鋼を支えた鉱山の歴史

採掘された蛍石は、鉄を溶かす温度を下げる融剤として使われた。愛知県春日井市の大同鋼業(現・大同特殊鋼)などへ出荷され、戦後の製鉄を支えた。昭和46年、鉱脈が細くなって採掘量が減り、閉山した。ツアーで歩く谷は、かつて多くの人が働いた現場だ。そう思うと、バケツ一杯の蛍石が少し重く見える。

昭和30年度には、この地区の蛍石が全国の生産の78%を占めた。日本で掘られた蛍石の、ざっと4つに3つだ。その谷が、いまは袋に分けて持ち帰る体験の場になった。悪くない余生だと思う。

「蛍光」という言葉は、この石から生まれた

オパールから「オパレッセンス」ができたように、蛍石の光り方を「フルオレッセンス」と呼んではどうか。1852年、物理学者のストークスが論文の脚注でそう持ちかけた。石の名前が、光の現象の名前になった。本文ではなく脚注で、というのがいい。

紫外線で光る仕組みと、熱で光る性質

紫外線という見えない光を受け取って、見える光で返す。律儀な石だ。

ブラックライトで光るかどうかは、おおむね産地で決まる。蛍石でも、光らないものはある。笹洞の坑道で岩肌が光るのは、この谷の蛍石が光る性質を持つからだ。光らない蛍石に当たっても、腕のせいではない。石の生まれの問題だ。産地ごとの色と光り方は、日本の蛍石の産地で並べた。

蛍石の光り方は、じつは一通りではない。

光らせ方呼び名ひとこと
紫外線を当てる蛍光「蛍光」という言葉そのものが、この石から生まれた
熱する熱ルミネッセンス和名「蛍石」の由来。緑に光る変種はクロロフェンと呼ばれる。家ではやらない
こする・打つ摩擦発光この性質を持つ個体もある

和名の「蛍石」は、紫外線ではなく、熱すると光る性質のほうから来た。ただし、これは家で試さない。熱すると、はじけて危ない。飛んでくる破片は、蛍よりずっと速い。

菅田集学校への行き方と駐車場

集合場所は菅田集学校(岐阜県下呂市金山町菅田桐洞117)。駐車は集学校の体育館側を使う。トイレも集学校の中にある。周りにはトイレがないので、早く着きすぎた人ほど、ここを覚えておくと助かる。

公共交通は選択肢が限られる。飛騨金山駅からの旧路線バスは廃止され、今は予約制のデマンドバスがあるが、日曜は運休する。送迎の可否も時間帯によって条件が違う。電車で向かうなら、参加枠より先に足を決めておく。正直なところ、車で行くのが一番楽だ。

見つけた蛍石を家で観察する

母岩は別枠で1個まで

蛍石の結晶が、別の岩にくっついたまま出てくることがある。これを母岩と呼ぶ。バケツの容量とは別に、母岩は1個まで持ち帰れる。大きな母岩に当たれば、それだけで記念になる一品だ。1個まで、というのがまた悩ましい。

蛍石は柔らかい石なので、洗うときは水と歯ブラシで十分だ。ゴシゴシ擦らず、優しく汚れを落とす。取れにくい黒い汚れは、鉱石が浸かる量のハイターにしばらく浸けておくと落ちやすくなる。半日から丸1日が目安だ。

家にブラックライトがあれば、部屋を暗くして光り方を確かめられる。同じ蛍石でも、光の強さや色は一個ずつ違う。並べて見比べると、現地では気づかなかった違いが出てくる。家に帰ってから、もう一度採集が始まるようなものだ。バケツに混じったほかの石を磨いて艶を出したくなったら、手磨きのコツと手順で。

よくある質問

Q. 何歳まで参加できる?
上の年齢は決まっていない。目安は、林道を往復約2km歩いて、3時間半の行程をこなせるかどうかだ。

Q. 必ず蛍石が見つかる?
確約はない。それでも、ガイドと同じ谷で掘る分、見当をつけずに河原を歩くよりずっと近い。

笹洞のある岐阜には、ほかにも石の遊び場が多い。岐阜は石の遊園地にまとめた。

石好き次郎から

普段の私は、多摩川や荒川の河原に、たいてい一人で降りる。予約もガイドも要らない。行きたい日に行き、帰りたいときに帰る。笹洞鉱山は、その逆の場所だ。私有地の鉱山跡に運営が道を作り、安全を管理して、初めての人でも入れるようにしている。

自由に拾える場所と、管理された場所。どちらが上という話ではない。紫外線で光る蛍石は、そもそも自由に採れる場所がほとんどない。だから、ここに行く意味がある。予約画面の前で待つ時間も、採集のうちだと思えばいい。

約1kgという持ち帰りの上限に、文句はない。誰かが管理して量を決めているから、次に来る人の分も残る。好きなだけ拾える河原に慣れた身には、少し耳の痛い話でもある。

坑道でブラックライトを消したときの暗さと、点けた瞬間に岩肌がにじむように光る、あの光。あの落差だけは、ほかのどの採集地でも味わえない。

石好き次郎
河原の石は、濡れているうちがいちばんきれいで、乾くと地味になる。蛍石は逆だ。暗くしてからが本番になる。持ち帰ってからのほうが、長く遊べる石だ。

公式確認先

料金や予約、持ち物の話のもとにしたページを置いておく。変わっていたら、こちらが正しい。

蛍石の名前と、鉱山の歴史は次の資料で確かめた。

最終公式確認:2026年9月25日(料金・時間・対象年齢・持ち帰り量・支払い方法)

石好き次郎のおすすめ
石好き次郎のおすすめ
坑道でライトを消した暗さが忘れられないなら、次は光る理由だ。蛍石のほかに何が光り、なぜ光るのかは鉱物の蛍光で。家のブラックライトが、もう少し面白くなる。

蛍石以外の石を狙うツアーも各地にある。全国の鉱物採集ツアー・体験は鉱物探しはどこでできるにまとめた。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

石好き次郎
石を拾って20年、仕入れて売る仕事もしてきた。実際に見て、触って、確かめたことだけを書く。

コメント

コメントする

目次