拾った石を調べる方法|見分け方・洗い方・磨き方・保管まで完全ガイド

拾った石を記録・洗浄・保管する手順のイメージ

拾った石は、台所の茶碗と10円玉と磁石で、かなりのところまで調べられる。名前まで届かない石も多い。それでも、持ち帰ってからの扱い方ひとつで、ただの石ころか標本かが分かれる。

流れは早見表に並べた。ここで粘るのは、家でできる見分けとラベルと保管だけ。金色の石を茶碗の底にこすると、黒い線が出る。話はそこから始まる。

石好き次郎
持ち帰った石の半分以上は、名前が分からないままだ。20年拾っても、そこはあまり変わらない。だから、名前より先にメモを書く。
目次

採集後の流れ、10ステップ早見表

ステップ内容詳細記事
①記録する場所・日付をメモする本記事内
②写真を撮る濡れた状態と乾いた状態、両方本記事内
③観察する色・模様・透明感を見る海岸で拾える石の種類一覧
④安全に確認する硬度・磁石・条痕川原で拾える石の種類一覧
⑤洗う泥と鉄分を落とす拾った石の洗い方
⑥磨く手磨きかタンブラーか河原の石が宝石のように光る
⑦ラベルを付ける産地・採集日を残す本記事内
⑧保管するケースと湿度管理本記事内
⑨鑑別を依頼する必要なら専門機関へ拾った石にはどんなレポートが取れる?
⑩売る・譲る価値を調べてからこの石、何円になる?

①②記録する・写真を撮る

拾ってすぐやるのは、磨くことではなく書くことだ。場所(地図のピンで十分)・日付・天気。希少な産地の座標は人に見せない。メモを怠ると、1か月後には「どこで拾ったか思い出せない石」が箱にたまる。私の箱にも、ある。

写真は濡れた状態と乾いた状態、両方を撮る。河原で光っていた石は、家で乾くと別人になる。写真が無いと、自分の記憶のほうを疑うことになる。

③④観察する・安全に確認する

色・透明感・縞・光り方から候補を絞るなら、海岸で拾える石の種類一覧と川原で拾える石の種類一覧が早い。見るときは、石を一度濡らす。乾いた石は色を隠し、濡れた石は色を盛る。本当の色は、だいたいその間にある。当たりをつけたら、次の章の台所の実験に進む。

家でできる見分け——茶碗の底、10円玉、磁石

金色に光る石を拾ったら、台所の茶碗をひっくり返す。底の、うわぐすりのかかっていない輪(糸底)に石をこすると、粉の色が線になって残る。これが条痕(じょうこん)だ。タイルの裏でもいい。

金色の石の多くは黄鉄鉱で、条痕は黒になる。黄銅鉱なら緑がかった黒。本物の金なら、条痕も黄色のままだ。逆に、黒っぽい赤鉄鉱をこすると暗い赤が出る。見た目の色と粉の色が、ひっくり返る石がある。石は、粉にすると本音を言う。雲母や磁鉄鉱まで並べた金色の見分けはキラキラする石は金かで。

河原の石をつくるケイ酸塩鉱物の多くは、白い条痕になる。白い線しか出なくても、失敗ではない。むしろ、それが普通だ。

硬さは、爪と10円玉とガラスで比べる

モース硬度は、どちらがどちらに傷をつけるかで決める10段階の硬さだ。身近な道具での目安を表にした。

道具硬さの目安この道具で傷がつけば
爪2〜2.5とても軟らかい石
銅貨(10円玉)3〜3.5爪では無理でも、銅貨で傷がつく程度
軟鉄(鉄くぎなど)4〜4.5中くらい
ガラス・縫い針・押しピン5〜6ガラスで傷がつくなら5〜6より軟らかい
鋼のヤスリ6.5ヤスリにも負けないなら、石英(7)の仲間かもしれない

こすったあとは、布で拭いてから傷を見る。軟らかい石の粉が線になって付き、傷に見えることがあるからだ。それにしても、台所で石と10円玉をこすり合わせる大人は、はたから見るとだいぶ怪しい。

重さと磁石と、使わない薬品

比重は、キッチンスケールで出せる。水を入れたコップを載せて、表示を0に合わせる。糸で吊るした石を、底に付けずに水へ沈める。そのとき出た数字で、先に量った石の重さを割る。それが比重だ。

黒っぽい石ほど重い。これは、だいたい当たる。白っぽい火成岩の比重が2.5〜2.8ほどなのに対し、黒いほうは2.8〜3.1ほどになる。

黒くて重くて磁石に付けば、まず磁鉄鉱を疑う。砂鉄の正体だ。河原で磁石を転がすと、黒い粒がひげのように付いてくる。

方解石や石灰岩は、塩酸をかけると泡を出す。ただ、家ではやらない。薬品なしでも候補はかなり絞れる。泡を見るのは、博物館に任せておけばいい。

⑤洗う

拾ったばかりの石は、泥と鉄分の膜で本来の色が隠れていることが多い。鉄分の膜を、石を傷つけずに落とす手順は拾った石の洗い方で。

洗う前に、水と酸に弱い石だけは分けておく。岩塩は水に溶ける。方解石や石灰岩、貝殻は酸に弱い。クエン酸で鉄の汚れを落とそうとすると、汚れと一緒に石の表面まで溶ける。きれいにしたつもりで、一つ減らすことになる。

黄鉄鉱は、空気に触れると硫酸と酸化鉄に分解していく。洗ったら、すぐ乾かす。濡れたまま箱にしまうのが、この石にはいちばん悪い。

⑥磨く——手磨きかタンブラーか

磨き方は大きく2つ。手磨きは安く、力加減を石ごとに変えられるが、時間がかかる。ロックタンブラー(研磨機)は数日〜数週間、機械が磨いてくれるが、機材代が要る。

手で磨くなら手磨きのコツと手順、メノウだけならメノウの手磨きから入る。タンブラーは、手磨き派が調べた記事を関連記事に置いた。

石好き次郎
磨くと、石は見違える。見違えすぎて、自分で拾った石だと分からなくなる。磨く前に、一枚だけ撮っておく。

⑦ラベルを付ける

ラベルの無い石は、標本の世界では「産地不明」になる。値打ちも、そこで落ちる。最低限、採集地・採集日・石の名前(分かる範囲で)を小さな紙に書いて、石と一緒にしまう。名前が分からなければ「未同定」でいい。当てずっぽうの名前より、ずっと正直だ。

市販のミネラルラベルを使うと、標本箱の仕切りと一緒に整理しやすい。手書きで十分だ。石に油性ペンで直接書くなら、見たい面は避ける。大事なのは、石とラベルが離ればなれにならないことだけだ。

⑧保管する

私は、拾った石を透明な袋に入れておく。仕切り付きのケースに並べる人も多い。日に当てると色があせる石もある。アメジストは紫外線で薄くなりやすいと言われる。置き場所は棚の中だ。窓辺に飾るのは、見せたい日だけでいい。

湿気は、鉄分を含む石をさびさせ、粘土質の石を崩す。乾燥剤を一つ入れておけば済む。数が増えたら、産地と日付をノートにまとめる。「あの石、どこで拾ったっけ」と箱をひっくり返す夜が、少し減る。

⑨鑑別を依頼する

「本当にその鉱物か」を専門機関に見てもらう手もある。鑑別書と査定の違い、費用は拾った石のレポートで比べた。全部の石に要るわけではない。ここぞという一個だけでいい。

名前だけ知りたいなら、博物館の鑑定がある。糸魚川のフォッサマグナミュージアムは、鑑定日に配られる鑑定券(抽選)があれば、1人5個まで無料。15センチ以上の石、濡れた石や汚れた石は見てもらえず、郵送も受けない。河原でいちばんきれいなのは濡れた石なのに、窓口では断られる。

京都の益富地学会館は、事前に連絡すれば肉眼鑑定を頼める(30分以内で3,300円)。宝石として鑑別書がほしいなら、中央宝石研究所の基本料金が4,400円。名前を知るだけなら、前者で足りる。

⑩売る・譲る

値打ちを先に知りたいなら拾った石の価値を調べる方法へ。売る前に一つだけ。天然記念物の指定地や国立公園の特別地域など、法律で採取が禁じられた場所の石は、そもそも持ち帰れない。

石好き次郎
メモ書きは、石拾いでいちばん地味な仕事だ。拾うのは1秒、書くのは1分。その1分を飛ばした石ほど、あとで気になる。

名前が分からない石と、どう付き合うか

博物館の「鉱物の調べ方」には、色、条痕色、硬度、比重、割れ方、結晶の形、磁性など、18の項目が並ぶ。家でできるのは、その半分もない。

しかも河原の石の多くは、一つの鉱物ではなく、何種類もの鉱物が集まった岩石だ。名前が決まらない石が箱に残るのは、腕のせいだけではない。半分くらいは、と自分に言い聞かせている。

だから「未同定」は、負けの札ではない。条痕は白、硬さはガラスより上、磁石には付かない。分かった性質を書き足していけば、ラベルはちゃんと太っていく。名前は、いちばん最後に来る客だ。

よくある質問

Q. 磨かないまま保管してもいい?

問題ない。拾ったままの姿にも、記録としての値打ちがある。

Q. ブラックライトを当てると何が分かる?

光る石が分かる。ただし、光らない蛍石もある。光らないから違う、とは言えない。

石好き次郎から

私の棚にも、名前の分からない石が並ぶ。それでも捨てない。捨てた石に限って、あとで名前が分かる気がする。

磨いてつるつるになった石より、採集したときのままの石のほうが、私は好きだ。角の取れ方、表面の傷——それも、その日その場所で拾ったという記録の一部だから。

名前は、分かる日が来れば来る。来なくても、メモがあれば石はその日の河原を連れてくる。忘れるのは、いつもこっちのほうだ。

公式確認先

鑑定の受付条件や料金は変わることがある。この記事の事実は、次の資料で確かめた。

次にどの石を狙うか決めるなら、拾いたい石から日本を歩くから産地を引ける。

石好き次郎のおすすめ
石好き次郎のおすすめ
メモを書いたら、次はラベルだ。産地と日付と、分からなければ「未同定」。その一枚の書き方と、箱や湿気の始末までは拾った石は、ラベルを付けて標本になるで。忘れっぽいこっちの代わりに、紙が覚えてくれる。

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この記事を書いた人

石好き次郎
石を拾って20年、仕入れて売る仕事もしてきた。実際に見て、触って、確かめたことだけを書く。

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