吉野川の水は、川上村のいちばん奥、三之公の「水源地の森」から来る。その森は、人を入れないことで守られている。この記事は、もともと「川上村で水晶が採集できる」と書いていた。案内していた森が、村の条例で一般の立入りが禁止された区域だった。訂正する。
川上村には、行ったことがある。だから余計にきまりが悪い。ここからは石を持ち帰る話をやめて、水を守る森を「見る」話をする。入れない森の代わりに、行ける場所が一つある。

「水源地の森」は一般入山禁止
水源地の森は、広さ約740ha。村の条例で、一般の人は入れない。500年以上も手つかずのまま残ってきた森を、村が買い取って守る。
入る方法は一つだけある。村から管理を任された「森と水の源流館」の公式ガイドツアーだ。料金の一部は森の保全に回る。払った分が森に返るなら、文句はない。

森と水の源流館——まずここに行く
森と水の源流館は、入れない森の代わりに、森を見せてくれる場所だ。巨大ジオラマと映像で源流までたどれて、川の生き物の水槽もある。入館料は大人400円・小中学生200円。石好きの目は、たぶんジオラマの岩肌のほうに先に行く。
川上村の地質——中央構造線の南側
川上村のある紀伊山地は、中央構造線の南側(外帯)にあたる。海の底でできた砂岩・泥岩・チャートが寄り集まった、付加体の山だ。源流館は季節の展示で、村の入之波のサンゴ化石を出していた。山奥の村からサンゴというのも、海の底のかけらが寄り集まった山だと思えば、合点がいく。
吉野川の河原の石なら、見分けは三つで足りる。灰色でざらつくのが砂岩、黒くて手に吸いつくのが泥岩、割れ口がガラスのように光り、ナイフでも傷がつかないのがチャートだ。白い筋が走る石は石英の脈で、水晶を探す人がまず目を留める。ただ、筋があることと、結晶が育つ空洞があることは別の話だ。
白い筋の石が水晶か石英か、河原で迷ったら透明な石の見分け方で一つずつ絞る。
吉野熊野国立公園のルール
川上村の山には、吉野熊野国立公園に入る区域もある。特別保護地区・特別地域など、区域によって石や植物を採ってよいかが変わる。「少しなら」は通らない。決まりの話は、この段と下の表でおしまいにする。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 奈良県吉野郡川上村(吉野川源流・三之公地区) |
| 水源地の森 | 一般入山禁止。公式ガイドツアーのみ入山可 |
| 見どころ | 森と水の源流館(ジオラマ・映像)、水源地の景観 |
| 石の採集 | 水晶が採れるという確かな記録はない。国立公園の区域は行為・区域ごとに規制あり |
| 入館料 | 森と水の源流館:一般(高校生以上)400円・小中学生200円 |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
「川上宣言」——源流の村が自分で森を買った
1996年、川上村は「下流にはいつもきれいな水を流します」という「川上宣言」を出した。下流から頼まれたのではない。源流の村のほうから言い出した。上流が先に約束する。川の話としては、順番が逆で、だから効く。
水源地の森は、この宣言を形にしたものだ。村が山林の持ち主の協力を得て買い取り、村有林として守る。下流の水のために「人を入れない」と決めた森だ。石を拾いたい日は、奈良・滋賀の石拾いスポットや全国の石拾いマップから別の河原を探せばいい。森は、見に行く場所でいい。
よくある質問
Q. 森と水の源流館の休みはいつ?
A. 水曜日だ(祝日なら翌日)。年末年始も閉まる。開いているのは9時から17時。
Q. 吉野山の世界遺産と組み合わせられる?
A. 道はつながる。ただ、石拾いの周遊としては案内しない。吉野山は吉野山として行けばいい。

石好き次郎から
源流の村が、自分の山を買ってまで人を入れないと決めた。石を拾う側から見ると、少し耳が痛い。禁止の理由を、石好き自身が作ってきた場所もあるからだ。
拾えるかどうかより先に、そこに入っていいかを見る。20年石を拾ってきて、まだこれを書き直している。
拾わない森が一つくらいあっても、石好きは困らない。河原は、ほかにいくらでもある。
間違えたら、直す。それだけだ。
公式確認先
行き方や料金のもとにしたページを置いておく。変わっていたら、こちらが正しい。
水源地の森・入山ルール
吉野熊野国立公園
地質資料
最終公式確認:2026年7月23日

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