北海道後志(しりべし)総合振興局・島牧村(しままきむら)。人口約1,200人の小さな漁村だ。
この村の海岸「江ノ島海岸」は「日本の渚100選」に選ばれた美しい砂利浜だ。ここの「砂利」は砂利というには大きく玉石と言った大きさの石が広がっている。波打ち際を歩くと白・オレンジ・赤の半透明の石が混じっている——めのうとジャスパーだ。石好きの間では「北海道でめのうが拾える穴場海岸」として口コミで広がってきた場所だ。
そして島牧はめのうだけではない。「賀老の滝」(日本の滝百選)・「賀老高原ブナ原生林」(10,700ha・日本最大級)・「茂津多岬灯台」(海抜290m・日本一の高さ)・「モッタ海岸温泉」(玉川温泉に匹敵するラジウム温泉)——自然の宝が集まる小さな村だ。「石を拾いながら日本の絶景を巡る」という旅が、この村だけで完成する。

なぜ島牧の海岸にめのうがあるのか
島牧村周辺の海岸は、後志地方の火山性地質帯に位置している。新第三紀(約2,300万〜260万年前)の火山活動で形成された安山岩・流紋岩の地層に、めのう・玉髄・ジャスパーを含む珪質岩が挟まれている。この地層が日本海の荒波に削られ続け、めのうの破片が海岸に打ち上がる。
同じ後志地方の古平町・泊村「鉱石海岸」も同様の地質で、北海道の海岸めのう産地として並んで知られているが、島牧の江ノ島海岸は「知られざる穴場」という点で際立っている。採集圧が低く、手つかずの石が残っている可能性が高い。
アクセスと基本情報
車:札幌市中心部から道央自動車道・黒松内ICで降りて国道229号(追分ソーランライン)を北へ約30分(合計約2時間30分〜3時間)。小樽ICからは約2時間。国道229号沿いに駐車場とトイレがあり車でのアクセスは良好だ。公共交通:最寄り鉄道駅はJR函館本線・黒松内駅。バスはニセコバスで寿都ターミナル経由の便がある(本数が極めて少ない)。実質的に車が必須だ。生活用品:泊川を渡ってすぐの島牧村役場付近にセイコーマート(6時〜23時)。村内にコンビニは1店舗のみのため事前に準備を推奨する。
採集できる石の種類と市場価値
| 石の種類 | 見つかりやすさ | 特徴 | 市場価値 |
|---|---|---|---|
| 玉髄(カルセドニー) | 高(★★★) | 乳白色〜青みがかった白。半透明。最も多い | ほぼゼロ〜500円 |
| めのう(白〜オレンジ〜赤) | 中(★★☆) | 色が豊富。光に透かして確認 | 500〜3,000円 |
| 縞めのう(アゲート) | 低(★☆☆) | 縞模様入り。非常に希少 | 1,000〜10,000円 |
| 碧玉(ジャスパー) | 高(★★★) | 不透明の赤茶〜緑・黄色 | ほぼゼロ〜300円 |
| チャート | 高(★★★) | 暗灰色〜赤茶。古生代の海底堆積物 | ほぼゼロ |
「北海道島牧村産・自己採集めのう」という産地ブランドは「日本の渚100選」という海岸の知名度とともに付加価値になる。縞模様の美しい縞めのうは希少で市場価値が高い。1〜2時間の採集でめのう・玉髄の欠片を10〜25個程度見つかれば良い成果だ。
めのうの見つけ方——4つのコツ
① 干潮を事前に確認して狙う
事前に潮汐表(「寿都」または「島牧」の潮位情報)で干潮時刻を確認して出発する。干潮時に普段は波の下にある砂利帯が露出し、新鮮な石が現れる。干潮前後2時間が最も採集しやすい。気象庁の潮汐情報は無料で確認できる。
② 岩礁と砂利の境目を優先する
江ノ島海岸の西側(茂津多岬方向)に行くと岩礁地帯が増える。岩礁と砂利が接する場所——岩盤の根元や岩礁下流側の砂礫帯にめのうが集まりやすい。玉石が大きく積み重なっている場所を崩すように探すと良質なものが見つかる。
③ 波に濡れた状態で光にかざす
めのうは乾くと光沢が落ちて他の石に紛れやすい。波打ち際の濡れた石を光にかざして内部が透けるか確認する。透けるものがめのう・玉髄、透けないものがジャスパー・チャートだ。スマホのライトを当てると内部の透過がよく分かる。
④ 荒天の翌日を狙う
低気圧・強風の後、波が引いた翌日は新しい石が打ち上げられる。日本海の荒波が激しい秋〜冬(10〜2月)が石の動きが最も活発なシーズンだ。ただし強風・高波時の海岸は危険なため近づかない。最も安全で快適なのは5〜6月または9月の穏やかな日だ。

島牧を深く楽しむ——日本百選の宝庫
島牧村はめのう採集以外にも、石好きが知るべき「日本百選」が集まる場所だ。
賀老の滝(日本の滝百選)
落差70m・幅35mの壮大な滝。滝壺まで遊歩道が整備されている(通行止めになることがあるため事前確認を推奨)。島牧村の大地を刻む侵食の力を実感できる場所だ。
賀老高原ブナ原生林(日本最大級)
面積10,700haという日本最大級のブナ原生林が賀老高原に広がる。緑のトンネルの中を歩くハイキングが可能で、秋の紅葉は絶景だ。
茂津多岬灯台(海抜290m・日本一の高さ)
海抜290mと日本一高い位置に建つ灯台。日本海の水平線と後志の山々が見渡せる絶景ポイントだ。
モッタ海岸温泉——玉川温泉に匹敵するラジウム温泉
採集後の温泉として「モッタ海岸温泉旅館」(日帰り入浴可・要確認)は他にない特別な温泉だ。北海道医療大学の調査では秋田県の玉川温泉に匹敵する日本でも有数のラジウム温泉とされている。泉質はナトリウム-塩化物泉で源泉温度53.1度の源泉掛け流し。白い湯の花が浮かぶ乳白色の湯と、日本海を望む露天風呂が自慢だ。目の前に日本海が広がる一軒宿の静寂の中、採集した石を眺めながらゆっくりできる。
島牧1泊2日コース
めのう採集を中心に島牧を存分に楽しむ1泊2日プランだ。1日目午前:干潮時を狙って江ノ島海岸でめのう採集(2〜3時間)。1日目昼:村内で海産物ランチ(ウニ丼・昆布ラーメン等)。1日目午後:賀老の滝(日本の滝百選)見学。1日目宿泊:モッタ海岸温泉旅館(日本有数のラジウム温泉)。2日目午前:賀老高原ブナ原生林ハイキングまたは茂津多岬灯台(日本一の高さ)。2日目昼:岩内または寿都で昼食。帰路:小樽・札幌方面。
歴舟川(大樹町)との北海道2泊3日ルートも成立する。島牧から歴舟川まで車で約3時間30分〜4時間。「1日目:島牧でめのう→1泊→2日目:移動と観光→2泊→3日目:歴舟川で砂金」——日本海側と太平洋側を横断する北海道採集旅行の完成形だ。
よくある質問
Q. 札幌から日帰りで行けますか?
車で約2時間30分〜3時間。採集2〜3時間+温泉・食事で10時間程度の行程になる。日帰りは可能だが余裕を持った計画が必要だ。モッタ海岸温泉旅館に宿泊すれば翌朝も干潮を狙って採集できる。
Q. クマの心配はありますか?
北海道の山岳部・森林部ではヒグマが出没する。海岸での採集中は問題が少ないが、賀老高原ブナ原生林・賀老の滝へのハイキング時は熊鈴を携帯し複数人で行動すること。
Q. いつが採集に最適ですか?
めのう採集としては荒天後の翌日が狙い目で秋〜冬(10〜2月)が石の動きが活発だ。安全性と快適さを優先するなら5〜6月または9月の穏やかな日がおすすめ。冬は防寒必須だが静かな絶景の中で採集できる。
Q. 歴舟川(砂金)と組み合わせられますか?
島牧村(後志管内)から歴舟川(大樹町・十勝管内)まで車で約3時間30分〜4時間。2泊3日の北海道採集旅行として成立する。「めのう×砂金」という全く異なる採集体験を1つの旅で完成させられる。
石好き次郎から
観光地ではない村の海岸で、誰も注目しない石を拾う——その「発見感」が島牧の一番の魅力だ。「日本の渚100選」に選ばれた美しい砂利浜が、採集者のいない静かさのまま保たれている。日本一高い灯台・日本最大級のブナ原生林・日本の滝百選・日本有数のラジウム温泉——これだけの「日本一」が集まる小さな村が、石好きにとっての隠れた楽園だ。
「良い石には理由がある」——島牧のめのうの理由は、数百万年前の火山が海底に積み重ねた珪質の地層が、日本海の荒波に削られ続けた結果にある。その石が今日もここで波に磨かれている。
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