河原の縞模様の石は何か——メノウ・チャート・片麻岩・流紋岩の見分け方

縞模様の入った河原の石
石好き次郎
縞の石を拾うと、まず光にかざす。透けたら喜ぶ。透けなかったら、別の名前を探しにかかる。

河原の縞模様の石は、たいていメノウ・チャート・片麻岩・流紋岩、それに砂岩と泥岩の互層のどれかだ。見分けるコツは、色より先に「この縞はどうやってできたか」を考えること。それだけで、迷う石がだいぶ減る。

縞は飾りではない。石が昔どこで何をされたかの跡だ。

目次

縞模様は4種類の作られ方に分けて考える

棚は4つある。空洞の内側から育った縞はメノウ。海の底に積もった縞はチャートと砂岩泥岩互層。地下の高温高圧で鉱物が並んだ縞は片麻岩。流れながら固まった縞は流紋岩だ。河原で誰かが採点するわけではない。迷ったときに、自分に「どの棚の話だ」と聞くための仕分けだ。

縞の色はなぜ違うのか

縞の色の違いは、主に鉄やマンガンなどの微量元素と、どの鉱物が集まったかで決まる。メノウの赤は酸化鉄、灰や黒は有機物や別の鉱物の混入。片麻岩の白い帯は石英や長石、黒い帯は雲母や角閃石だ。赤い縞を見ると、つい手が伸びる。正体は鉄の酸化物、つまり錆の親戚だ。錆に喜んでいると思うと、少し笑える。

片麻岩の縞——元はどんな岩だったか

片麻岩は、花崗岩や堆積岩が地下深くで高温高圧を受けてできる変成岩だ。石英や長石は白い帯に、雲母などは黒い帯に分かれて並ぶ。河原では、白黒の帯の中に鉱物の粒がひとつずつ見える。透け感はない。粒が見えたら、まず片麻岩を疑う。白黒のくせに、地下の深いところまで沈んで戻ってきた、経歴の派手な石だ。

メノウ・チャート・片麻岩・流紋岩・砂岩泥岩互層の比較

石縞の成因現物の見え方似たものとの違い
メノウ(縞状玉髄)空洞壁や割れ目から微細な石英質物が帯状に成長半透明、細い曲線や同心状の帯玉髄すべてに縞があるわけではない
チャート深海の珪質物が堆積硬く緻密、赤・灰・黒縞が地層由来の場合がある
片麻岩高温高圧で鉱物が分離・配列白黒の鉱物粒が見える縞が結晶粒の帯になる
流紋岩マグマ流動による流理緻密で曲線状の縞半透明でないことが多い
砂岩泥岩互層異なる粒径の堆積層ごとに硬さ・色が違う風化で凹凸が出る
石好き次郎
片麻岩の白黒は、ずっとただの模様だと思っていた。地下で引き伸ばされた跡だと知ってからは、素通りできなくなった。

河原で見る順番

河原では、この順に見る。まず、縞が表面だけか、中まで続くか。次に粒が見えるか、光にかざして透けるか。縞に沿って割れるか、関係なく割れるか。最後に、縞が曲がるか、まっすぐか。メノウの縞は同心円や曲線になりやすく、積もってできた縞はまっすぐ平行になりやすい。5つ全部、しゃがんだまま終わる。道具はいらない。

メノウの縞——空洞の内側から育つ結晶

メノウの縞は、岩の中の空洞にシリカを含んだ水がしみ込み、壁に薄い層を一枚ずつ重ねてできる。水の成分が変わるたびに、色や質感のちがう層が乗る。だから縞は空洞の壁に沿って、内側へ内側へと丸く回る。上から積もる地層の縞とは、育つ向きがそもそも違う。河原で丸く回る縞を見つけると、それだけで少し脈が速くなる。海で探すなら波打ち際のメノウへ。

透け方、ろうのつや、チャートやガラスとの分け方。メノウという石そのものの顔はメノウとは何かで、一つの石として追った。

流紋岩の流理——マグマが流れた跡

流紋岩の縞(流理)は、粘り気の強いマグマが流れるとき、混ざりきらない部分が引き伸ばされて残ったものだ。細い縞が、緻密な地の中をうねる。チャートの縞はその逆で、深海に降り積もった放散虫(ガラス質の殻を持つ小さなプランクトン)の殻などが層になったもの。片やマグマが流れたひととき、片や深海に積もった何百万年。同じ縞なのに、時計の針の速さがまるで違う。

磨くと模様が現れる石、消える石

メノウやチャートのように目の詰まった石は、磨くと縞がくっきり出ることが多い。片麻岩や砂岩泥岩互層のように粒が粗く不透明な石は、磨いても劇的には変わらない。むしろ層の凹凸を残したほうが、どうやってできたかがよく見える。磨けば何でもきれいになる。これは半分だけ本当だ。磨く石を選んだら、手磨きのコツと手順で番手を上げていく。

河原の縞模様の石に関するよくある質問

Q. 写真だけで決められる?
難しい。光の当て方で縞の見え方が変わる。手に取って、透け方と粒と割れ方を見るのがいちばん早い。

石好き次郎
磨いたら消えた縞も、磨くほど出てきた縞もある。両方やらかしてから、磨く前に一度手を止めるようになった。

石好き次郎から

縞のある石をすべてメノウ箱に入れていた時期がある。箱の名前と中身が、いちばん合っていなかった頃だ。

粒を見るだけで、候補はかなり減る。透けて、粒が見えなければメノウか玉髄、白黒の粒が見えれば片麻岩。それだけのことに気づくまで、ずいぶん遠回りした。縞のない透明な石なら、河原の透明な石は水晶かで同じ遠回りを省ける。

きれいでも、わざと磨かずに置いておく石がある。凹凸が残ったままのほうが、どこから来たかを正直にしゃべる。

縞は色の模様ではない。海の底、地下の深いところ、空洞、流れるマグマ。石がどこにいたかを示す線だ。そう分かっていても、きれいな縞を見るとやっぱり「メノウかも」と思う。そこは20年たっても直らない。

石好き次郎のおすすめ
石好き次郎のおすすめ
「メノウかも」を、川で確かめに行くなら久慈川だ。赤い石はいくらでもあるのに、光を通すのは一個だけ。その一個の探し方は久慈川の赤いメノウで。

用語で迷ったら

用語の意味で迷ったら、産総研の地質の用語集が手っ取り早い。

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この記事を書いた人

石好き次郎
石を拾って20年、仕入れて売る仕事もしてきた。実際に見て、触って、確かめたことだけを書く。

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