新潟県で石を探す|糸魚川の海岸・佐渡・川で見られる石と採集ルール

日本海の海岸に打ち上げられた石のイメージ

新潟で石と聞けば、まず糸魚川のヒスイが浮かぶ。それで正解だ。ただ新潟には、世界遺産になった佐渡の金山があり、翡翠の町から見つかったラピスラズリがあり、地質をまるごと見せてくれる博物館もある。ヒスイの県、の一言で片づけるには、材料が多すぎる。

この記事は、新潟で「どこで何が見られるか」を並べる入口だ。細かい話は、それぞれの記事に回した。ここでは地図を広げて、拾える浜と、見るだけの場所の境目を引いておく。

石好き次郎
ヒスイ目当てで地図を広げると、佐渡の金と姫川のラピスラズリが横から顔を出す。新潟は、一枚めくるたびに別の石が出てくる県だ。

北陸4県の全体像は北陸4県の海岸と川原へにまとめている。

目次

新潟の石スポット早見表

先に一枚にまとめる。「○」は石拾いの場所として案内されている所、「×」は見る場所。料金と時間は2026年9月の数字だ。

場所見られる・拾える石料金・アクセスなど石の持ち帰り
ヒスイ海岸(糸魚川海岸・押上)ヒスイ・蛇紋岩・キツネ石など多種駐車場あり/糸魚川駅からタクシー約5分○
青海海岸(ラベンダービーチ)ラベンダー色のヒスイほか手のひら大の石—○
親不知ピアパーク前の浜ヒスイほか小砂利親不知ICから車で約2分○
市振海岸富山側からも届く礫・ヒスイ—○
筒石・浜徳合約300万年前の砂岩泥岩互層県道沿いで観察×(見る地層)
小滝川ヒスイ峡ヒスイの巨大な転石—×(国の天然記念物)
青海川ヒスイ峡ヒスイを含む岩塊 約30個—×(国の天然記念物)
フォッサマグナミュージアムヒスイと糸魚川の石・地質一般700円・小中高300円/石の鑑定は無料×(展示)
化石の谷(ミュージアム敷地内)約3億年前のウミユリ・サンゴ・三葉虫など300円/12月から冬期閉鎖○(1人3個まで)
佐渡西三川ゴールドパーク砂金体験込みの入館料(額は公式の料金表で)/年中無休○(体験として)
史跡佐渡金山宗太夫坑・道遊坑・道遊の割戸大人1,500円・小学生750円×(坑道見学)
赤玉(佐渡市)赤玉石の産地と地すべり地形赤玉中バス停から徒歩5分×(拾える場所の案内なし)
佐渡小木海岸玄武岩の枕状溶岩・海蝕洞—×(国の天然記念物・名勝)
柏崎・米山福浦八景奇岩・牛ヶ首層内褶曲番神岬〜聖が鼻の約12km×(国定公園・景色を見る)
長岡市立科学博物館長岡の地層と化石・海牛の復元模型入館無料×(展示)

糸魚川エリア——ヒスイ海岸と親不知

糸魚川市のヒスイ海岸(押上海岸)と親不知海岸は、波でヒスイが打ち上がる浜として知られる。緑っぽい石が目に入るたびに、これかと思って拾ってしまう。そういう浜だ。アクセス・駐車場・見分け方は、それぞれの記事にまとめた。

ヒスイは国の石で、県の石で、町の石だ。日本鉱物科学会が「国石」に選び、日本地質学会も新潟の「県の石」に選んだ。糸魚川のヒスイは5億年あまり前にできて、縄文の人が玉に磨き、交易に使った。肩書きのわりに、浜ではただの白い小石の顔をしている。

拾える浜は4つ、西へ行くほど岩がせまる

ヒスイ海岸は糸魚川海岸の愛称だ。昔は砂浜が長く続いたが、浸食が進んで砂利の浜に変わった。そのおかげで、ヒスイが探せる浜になった。砂浜が痩せて、石好きが太った。駅からタクシーで5分ほど、駐車場もある。

姫川と青海川のあいだが青海海岸だ。手のひらに乗る大きさの石がそろった砂利浜で、岩石の勉強にはもってこいだ。浜の一角はラベンダービーチと呼ばれる。ラベンダー色のヒスイが見つかるからだ。緑を探しに来て、紫の名前の浜に立つ。

さらに西が親不知。北アルプスが海に落ちる断崖で、親不知ピアパーク前の小砂利の浜が石探しの場所になる。いちばん西の市振海岸は、糸魚川と富山の山から来た小石が混ざる。糸魚川・青海・親不知・市振。4つ全部を一日で回る計画は、最初の浜で崩れる自信がある。

季節は、雪解け水がたくさん流れ込む春がいい。波の高い日は浜に近づかない。海に背を向けて探さないこと。下ばかり見ているのが石拾いだ。たまに顔を上げるくらいで、ちょうどいい。

筒石は「見る地層」の場所

市の東側、筒石・浜徳合エリアは、浜で拾うより崖を眺める場所だ。300万年ほど前にフォッサマグナの海底にたまった砂岩と泥岩が、しま模様に重なる。この地層からは、クジラや二枚貝の化石も出た。県道沿いで見られるので、車には気をつける。

しまの一本一本は、大地震のたびに海底の斜面が崩れて運ばれた土砂らしい。数えはじめると、途中で気が遠くなる。

ヒスイ以外に拾える石——見分けのコツ

浜で緑の石を拾うと、たいていヒスイではない。そもそもヒスイは白が基本で、緑・青・紫・黒などは微量の鉄やクロム、チタンで色がつく。緑を追いかけるほど外す。これがヒスイ海岸のいちばん意地悪なところだ。

ジオパークの「石のまちコレクション」には、糸魚川の石が30種類並ぶ。ヒスイと間違えやすい石だけ抜き出すと、下の表になる。

石色手ざわり・形見分けの決め手
ヒスイ(ヒスイ輝石岩)白が基本。緑・青・紫・黒も乾いてもしっとり。角ばるずっしり重い(比重約3.2)。キラキラ光る小さな粒
曹長岩白〜灰色で模様がない乾いてもつるつるヒスイより軽い(比重約2.6)。キラキラ光る大きな粒
キツネ石(リストベナイト)インクのような鮮やかな緑全体がキラキラ赤茶けたすじが入ることが多い
ネフライト(透閃石岩)暗い緑・青緑乾いてもつるつる。丸くて平たい光にかざすと透明感がある
ロディン岩白・緑・灰・褐色乾いてもつるつる白と緑の粒のしま模様。表面に細かい割れ目や溝
蛇紋岩深い緑が多い。薄緑・黒も濡れたようなつるつるひもに吊るした磁石がくっつく

決め手は重さと肌だ。ヒスイは乾いてもしっとりして、同じ大きさなら重い。よく似た白の曹長岩は、軽くて粒が大きい。表で読むと簡単だ。浜で両手に持つと、急に自信がなくなる。空振りの日のほうが多い浜だ。

キツネ石は、インクのような緑に赤茶のすじ。いかにも宝物の顔をしているのに、ヒスイではない。正式にはリストベナイトで、緑の雲母を含む炭酸塩の石だ。名前に狐がついた理由が、手に取るとなんとなく分かる。

昔「ピンクヒスイ」と呼ばれた石は、ヒスイではなかった。桃色の鉱物を含むロディン岩だ。かんらん岩が蛇紋岩に変わるとき、出てきたカルシウムが沈んでできる。名前で呼ばれた石が、名前どおりとは限らない。

蛇紋岩は磁石で分かる。糸で吊るした磁石を寄せると、くっつくものがある。そして蛇紋岩は、地下深くから上がってくる途中で、ヒスイを取り込んで運んでくることがある。ヒスイと間違えられる石が、ヒスイの運び屋でもある。浜で一番よく見る緑に、案外いちばん頭が上がらない。

持ち帰りの決まりは、はっきりしている。必要な分を拾ったら、残りは浜に返す。大きな石は持ち帰らない。それはこの先、波に削られて誰かの小石になる。袋を重くしないのも、腕のうちだ。

小滝川・青海川ヒスイ峡は採取禁止

ヒスイの原産地、小滝川ヒスイ峡と青海川ヒスイ峡は、見るだけの場所だ。目の前に本物の原石があるのに、手は出せない。

小滝川の河原には、明星山のふもとにヒスイの岩が転がる。大きいものは5〜10立方メートルある。青海川のほうは、黒姫山のふもとの河床に、ヒスイを含む岩塊が30個ほど。蛇紋岩とヒスイの関係がよく分かる。浜の小石の、親の顔を見に行くようなものだ。

姫川支流のラピスラズリ

2026年2月、国立科学博物館が、糸魚川市内の姫川支流で採取された石を日本初のラピスラズリだと発表した。ヒスイの町から、今度は青い石だ。発見の経緯や地質の背景は、すぐ下の一本で追える。今は研究の段階で、市場には出ていない。買えない。この春から夏にかけて、地元の博物館と上野の国立科学博物館に並んだきりだ。

糸魚川とラピスラズリ——日本初の産出確認と、青金石をめぐる歴史

佐渡の地質——世界遺産の金山

2024年、「佐渡島の金山」がユネスコ世界文化遺産になった。砂金を洗った西三川と、山を掘った相川鶴子。性格の違う二つの鉱山でできている。江戸時代、機械に頼らず人の手だけで掘って、世界でも指折りの量の金を出した島だ。

観光施設「史跡佐渡金山」では、坑道を実際に歩いて見学できる。新潟港から両津港までジェットフォイルで約1時間、両津港から佐渡金山までは車で約50分。乗り継ぎを入れると、片道でけっこうな遠足になる。ここは砂金を採る場所ではなく、掘った跡を歩く場所だ。

史跡佐渡金山——二つの坑道と、割れた山

「佐渡金山コース」は、宗太夫坑と道遊坑、二つの坑道を歩く。歩くのに60〜90分。大人1,500円、小学生750円で、最終入場は16時だ。冬は時間が早まる日や休みの日がある。予約がいらないのは、天気で予定が動く旅にはありがたい。

外に出たら、道遊の割戸を見上げる。江戸時代の露天掘りの跡で、金の脈を追って掘り進むうちに、山がV字に割れた。山頂の割れ目は幅約30m、深さ約74m。人が金を追いかけると、山の形まで変わる。石を拾いに来た身には、耳の痛い眺めだ。幕府を支えた265年と、坑道が400kmに延びるまでの388年は、佐渡金山265年の全記録でたどれる。

西三川ゴールドパーク——世界遺産の砂で皿を振る

西三川では、平安時代から砂金が採られたと伝わる。佐渡金山より500年ほど早い。あの有名な金山のほうが、後輩に見えてくる。その砂金山の跡に、体験型の資料館「佐渡西三川ゴールドパーク」が建つ。小木港から車で約20分、両津港からは約50分。

入館料には、砂金採り体験が込みだ。年中無休で、見学と体験に40〜50分。採った砂金はキーホルダーなどに加工できる。自分で振った一粒を、身につけて帰れる。

閉館は夏が17時30分、冬が16時30分、それ以外は17時。冬の佐渡で皿を振る物好きのために、冬も開けてくれる。

赤玉石——佐渡の赤い銘石

佐渡には、ヒスイでも金でもない名石がある。赤玉石だ。磨くと真紅に光る。赤鉄鉱をふくむ碧玉の一種で、産地は両津の赤玉、相川の外海府、岩首あたり。

赤玉石は、日本の三大銘石の一つだ。赤玉集落の急な斜面で地すべりがくり返し、この石を運んできた。石の商いの目で見ると、名前に色が入った石は、色で勝負する石だ。赤玉は、その赤ひとつで三大に入った。ジオサイト「赤玉の地すべり地形と赤玉石」は、赤玉中バス停から歩いて5分。

赤玉石は、拾いに行く石というより、見に行く石だ。産地の斜面を眺めて、磨いた一個は博物館や写真で見る。手に入らない赤は、目に焼きつけるしかない。

石好き次郎
道遊の割戸の大きさを知ってから皿を振れば、一粒の小ささに笑うしかない。それでも、自分で振った一粒は、自分の一粒だ。

新潟のほかの石——柏崎の奇岩と長岡の地層

柏崎の番神岬から聖が鼻までの海岸を、米山福浦八景と呼ぶ。丸い巨岩の「だるま岩」、海に直角に立つ「聖が鼻」、沈んだ地層がもう一度持ち上がってできた褶曲(地層の折れ曲がり)。国定公園の中なので、ここは景色を拾う場所だ。

長岡市立科学博物館は入館無料だ。長岡の地層と、その中の化石を並べる。目玉は海牛(かいぎゅう)の化石で、入口には全長8mの海牛の親子の復元模型がある。海の牛が長岡にいた。それだけで電車賃の元は取れる。

上越の浜や阿賀野川の河原も気になる。ただ、何が拾えるかを言い切れるほどには知らない。分からない場所は、分からないと書いておく。

フォッサマグナミュージアムで学んでから行く

糸魚川市内のフォッサマグナミュージアムには、糸魚川の地質の成り立ちと翡翠が一か所に並ぶ。「なぜ糸魚川に翡翠が出るのか」が腹に落ちる施設だ。私も糸魚川で拾った翡翠らしい石の名前を、ここで確かめてもらった。そのあとCGLに送ったら、翡翠と鑑別された。浜に出る前に寄っておくと、拾う手が迷わない。

観覧料は一般700円、小中高生300円。9時から16時30分まで入れて、17時まで見学できる。休館は12〜2月の月曜と祝日の翌日、年末年始だ。冬の月曜に行って、閉まった扉の前で立ち尽くす。いかにも私がやりそうなことだ。

拾った石の鑑定は無料だ。ただし「鑑定券」が要る。無料エリアで抽選で配られ、1枚で1グループ、1人5個まで。15cm以上の石、濡れた石、汚れた石は見てもらえない。郵送も受けていない。浜で拾ったら、乾かして、砂を落として持って行く。石も身なりを整えて行く。

敷地の中には「化石の谷」がある。約3億年前の化石が眠る屋外の採集場で、ウミユリやサンゴ、腕足類、三葉虫が出る。1人300円でハンマーとゴーグルを貸してくれて、握りこぶし大までの化石を1人3個持ち帰れる。12月から冬期閉鎖、雨の日も休み。浜が荒れた日の逃げ道になる。

採集可否は場所によって異なる

拾っていいかどうかは、場所で決まる。法律で線が引かれているのは、県内だとこのくらいだ。まず天然記念物。小滝川・青海川のヒスイ峡と佐渡の小木海岸がそうで、指定地の中で石を採れば文化財保護法で罰せられる。市の案内は「糸魚川市公式:ヒスイの採取について」。外海府の海岸は名勝だ。私有地にも入らない。

もう一つは国定公園の特別地域。佐渡弥彦米山国定公園では、鉱物や土石の採取に許可が要る。佐渡では外海府から大佐渡の山地と小木地区、本土では柏崎の米山福浦八景がこの公園に入る。

糸魚川のふつうの浜なら、波と相談して拾えばいい。持ち帰るのは、気に入った数個で足りる。

石好き次郎
新潟は、拾える石と見るだけの石がはっきり分かれた県だ。悔しいことに、見るだけの石のほうがだいたい大きくて立派だ。

石好き次郎から

波の音を聞きながら浜で下を向く日と、船で佐渡に渡って暗い坑道を歩く日。同じ「新潟の石」でも、帰り道に手に残るものがまるで違う。どちらから入ってもいい。私はたぶん、また浜から入る。

石好き次郎
浜か、坑道か。迷ったら天気で決めればいい。晴れたら浜。雨なら坑道。どっちに転んでも、新潟の石だ。

公式確認先

数字は2026年9月に次の公式ページで見たものだ。

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私と同じく浜から入るなら、ヒスイ海岸の歩き方と見分け方は日本で翡翠に出会える場所で。

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この記事を書いた人

石好き次郎
石を拾って20年、仕入れて売る仕事もしてきた。実際に見て、触って、確かめたことだけを書く。

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